令和8年 2月期午前 第一級陸上特殊無線技士 工学 過去問解説 問16~問20

当ページのリンクには広告が含まれている場合があります。
令和8年 2月期午前 第一級陸上特殊無線技士 工学 問16~問20

本記事は、「令和8年 2月期午前 第一級陸上特殊無線技士 工学 過去問解説 問16~問20」の解説になります。

過去問解説一覧はこちら

目次

問16

解答

2

解説

1 正しい
レーダーは「電波を出している間」は、自分の強力な電波のせいで耳が塞がった状態になり、近くからの反射波をキャッチできません。
パルス幅(電波を出している時間)が長いと、そのぶん近くの目標物を見落とす「死角(最小探知距離)」が広がってしまいます。
パルス幅をシュッと「狭く(短く)」してあげれば、すぐに受信体制に入れるため、より近くのものまで探知できるようになります。

2 誤り
「方位分解能」とは、同じ距離で横に並んでいる2つの目標物をごっちゃにせず、別々に見分ける能力のことです。
ビーム幅が広い(太い)電波を出すと、アンテナを回したとき、2つの目標物が同時に1つの太い電波の中にすっぽり収まってしまいます。これだと、レーダー画面には1つの大きな塊として映ってしまい、見分けることができません(方位分解能が悪い)。
ビーム幅が狭い(鋭く細い)電波を出すと、ピンポイントで照らすことができるため、左の目標物に当たったとき、右の目標物に当たったとき、と別々に綺麗に検出できます(方位分解能が良い)。

3 正しい
電波は中心が一番強く、外側に向かってなだらかに弱くなっていきます。
どこまでを「電波のビームの太さ」とするかの世界共通のルールがこれです。一番強い中心のパワー(最大放射方向)に比べて、パワーが半分(1/23 dB1/2 = -3\text{ dB})に落ちる境目同士の角度を「ビーム幅(半値幅)」と呼びます。

4 正しい
図2を見ながら、アンテナが時計回りに回転して電波を放っている様子を想像してみましょう。
① 細い電波(ビーム幅 θ1\theta_1)の右端が、目標物の左端に触れた瞬間から、レーダーは反応し始めます。
② アンテナが回り、目標物の実際の幅(θ2\theta_2)を通り過ぎます。
③ 最後に、電波の左端が、目標物の右端を完全に離れるまで反応が続きます。
この「触れ始めてから離れるまで」の角度をすべて足し合わせると、画面上には実際のターゲットの幅(θ2\theta_2)に電波の太さ(θ1\theta_1)が上乗せされた、θ1+θ2\theta_1 + \theta_2 の広さでボヤッと大きく表示されてしまうことになります。

問17

解答

5

解説

A
パラボラアンテナの「パラボラ」とは、数学でいう「放物線」のことです。放物線をくるっと回転させたお椀型の鏡(回転放物面反射鏡)には、光や電波をコントロールする特別なマジックがあります。
焦点(中心のポツンとした位置)にある「一次放射器」から電波を出すと、最初は電波が四方八方に広がる 「球面波」 として飛び出します。
この球面波がお椀の壁にぶつかって反射すると、不思議なことにすべての電波が同じ方向へ、きれいに揃ってまっすぐ進む「平面波」 に変わります。
懐中電灯が周囲を広く照らすのではなく、スポットライトのように遠くまで鋭い光のビームを飛ばせるのと同じ原理です。

B
お椀の中心に向けて電波をパッと放射するパーツ(一次放射器)には、通常 電磁ホーン(ホーンアンテナ) と呼ばれる、金属製のラッパのような形をしたアンテナが使われます。導波管の先を広げたシンプルな構造で、お椀に向けて効率よく電波を照射できます。
選択肢にある「ホーンレフレクタアンテナ」は、それ自体が巨大なひとつの独立したアンテナ(シェル型のアンテナ)の名称なので、パラボラアンテナの一部のパーツとして中に組み込まれるものではありません。

C
大型のパラボラアンテナを屋外(ビルの屋上や鉄塔など)に設置すると、台風などの強い風を受けたときにものすごい空気抵抗(風圧)がかかってしまい、アンテナが曲がったり倒れたりする危険があります。
そこで、風がすり抜けるように、お椀の部分をあえて全面ツルツルの板にせず、金網や 金属格子(スリット状の構造) で作ることがあります。
「えっ、隙間があったら電波が通り抜けちゃうんじゃ…?」と思うかもしれませんが、電波の波長に対して十分に小さい隙間(格子)であれば、電波は通り抜けられず、ツルツルの板と同じように100%きれいに反射してくれるという電波の性質を利用しています。風は通して、電波は通さない、とても賢い工夫です。

問18

解答

2

解説

まずは、周波数 250 [MHz]250\text{ [MHz]} の電波の波長(波1個分の長さ)を求めます。

波長 λ [m]\lambda\text{ [m]} は、次の式で求められます。

λ=電波の速度 v周波数 f\lambda = \frac{\text{電波の速度 } v}{\text{周波数 } f}

電波の速度 vv は光の速さと同じで、常に 3×108 [m/s]3 \times 10^8\text{ [m/s]}(秒速3億メートル) です。

式に数値を代入します。

λ=3×108250×106=300×106250×106=300250=1.2 [m]\lambda = \frac{3 \times 10^8}{250 \times 10^6} = \frac{300 \times 10^6}{250 \times 10^6} = \frac{300}{250} = 1.2\text{ [m]}

ブラウンアンテナの各エレメント(放射素子や地線)の長さは、効率よく電波をキャッチ・送信できるように、すべて「波長の 14\frac{1}{4}14λ\frac{1}{4}\lambda)」 に設計するルールになっています。

したがって、地線の長さ ll は以下のようになります。

l=λ4=1.2 [m]4=0.3 [m]=30 [cm]l = \frac{\lambda}{4} = \frac{1.2\text{ [m]}}{4} = 0.3\text{ [m]} = 30\text{ [cm]}

問19

解答

5

解説

A
電気の通り道(給電線)と、電波を出す場所(アンテナ)の「電気の抵抗の波(インピーダンス)」が一致していないと、送り出された電波のエネルギーがアンテナでスムーズに受け取られず、一部が送信機側へ跳ね返ってきてしまいます。
この跳ね返ってきた波のことを反射波と呼びます。

B
同軸ケーブルのように「中心の芯線」と「外側の網線(アース)」で構造が非対称なものを不平衡回路、ダイポールアンテナのように左右対称な構造のものを平衡回路と呼びます。
これらをそのまま直接繋いでしまうと、本来流れるはずのないアンテナの外側(同軸の表面など)にアンバランスな電流が流れてしまいます。これを不平衡電流(または漏洩電流)と呼び、電波の飛び方が歪む原因になります。

C
この不平衡と平衡のズレを解消し、綺麗に接続するために使う変換器をバラン(BALUN:Balanced to Unbalanced 変成器)と呼びます。
選択肢にある「スタブ」は、インピーダンス(抵抗値)のズレを調整するための切り詰めた同軸ケーブルなどのことで、平衡・不平衡の変換用ではありません。

問20

解答

4

解説

全体の流れは、【送信電力】+【プラス(利得)】-【マイナス(損失)】=【受信電力】 となります。

① 送信機の出力電力をデシベルの単位である dBm\text{dBm}1 mW1\text{ mW} を基準としたデシベル)に直します。

0.5 [W]=500 [mW]0.5\text{ [W]} = 500\text{ [mW]} なので

送信電力 [dBm]=10log10(500)\text{送信電力 [dBm]} = 10 \log_{10} (500)

500=10002=1032500 = \frac{1000}{2} = \frac{10^3}{2} なので

10log10(1032)=10(log10103log102)10 \log_{10} \left(\frac{10^3}{2}\right) = 10 \left(\log_{10} 10^3 – \log_{10} 2\right)

=10(30.3)=10×2.7=27 [dBm]= 10 (3 – 0.3) = 10 \times 2.7 = 27\text{ [dBm]}

② 利得(プラス要素)をまとめます。

送信アンテナの絶対利得:40 [dB]40\text{ [dB]}

受信アンテナの絶対利得:40 [dB]40\text{ [dB]}

利得の合計=40+40=+80 [dB]\text{利得の合計} = 40 + 40 = +80\text{ [dB]}

③ 損失(マイナス要素)をまとめます。

帯域フィルタ(BPF)の損失:送信側と受信側にそれぞれ 1 [dB]1\text{ [dB]} あるので、1×2=2 [dB]1 \times 2 = 2\text{ [dB]}となります。

給電線の損失:長さがそれぞれ 15 [m]15\text{ [m]} で、1 [m]1\text{ [m]} あたり 0.2 [dB]0.2\text{ [dB]} 損失します。送信側と受信側の2本分あるので、0.2 [dB/m]×15 [m]×2=6 [dB]0.2\text{ [dB/m]} \times 15\text{ [m]} \times 2 = 6\text{ [dB]}となります。

自由空間基本伝送損失(空間で減衰する分):135 [dB]135\text{ [dB]}

損失の合計=2+6+135=143 [dB]\text{損失の合計} = 2 + 6 + 135 = 143\text{ [dB]}

④ 最後に①~③を足し引きします。

受信機入力電力=【送信電力】+【利得の合計】【損失の合計】\text{受信機入力電力} = \text{【送信電力】} + \text{【利得の合計】} – \text{【損失の合計】}

受信機入力電力=27 [dBm]+80 [dB]143 [dB]=36 [dBm]\text{受信機入力電力} = 27\text{ [dBm]} + 80\text{ [dB]} – 143\text{ [dB]} = -36\text{ [dBm]}

この記事を書いた人

30代電気通信エンジニア

所有資格:一陸特、一陸技、電気通信主任技術者(伝送交換)、工事担任者(AI・DD総合種)、電気工事士2種、CCNA(期限切れ)

誰かの役に立てばいいなと思っています。

目次