令和5年2月期午前の第一級陸上特殊無線技士 無線工学の過去問解説になります。
本記事は問6~問10の解説になります。
問1~問5はこちら↓

問6

答え
正解は4です。
解説
導波管には、ある周波数より低い電波は通さないという「遮断(カットオフ)」の性質があります。今回の 波(基本モード)の場合、非常にシンプルなルールで決まります。
まず、遮断波長(通ることができる限界の波長の長さ)を求めます。
方形導波管の波において、遮断波長は広い方の幅の2倍になります。
図より、遮断波長
次に、電波の速度(光速)を使って周波数に変換します。光速
単位が違うので、計算しやすいように単位をに合わせます。光速
最後に公式に代入します。
問7

答え
正解は2です。
解説
帰還をかけた後の電圧増幅度は次の公式で求められます。
ここに値を代入すると、
となります。
問8

答え
正解は5です。
解説
1:正しい
2相PSKは、デジタルデータの「0」と「1」を、搬送波の位相0とπ[rad](180度)に割り当てます。このため、信号間の位相差はπ[rad]となります。
2:正しい
伝送できる情報量はで計算します。8相PSKは1シンボルで通りの状態を表せるため、1ビット(2通り)しか送れないBPSKに比べて3倍の情報量を伝送できます。
3:正しい
QPSKは、互いに位相が(90度)ずれた2つのBPSK(IチャンネルとQチャンネル)を合成することで作ることができます。
4:正しい
4相PSKは1シンボルで2ビット(通り)を送ります。その情報の組み合わせは「00, 01, 10, 11」のいずれかになります。
5:誤り
シフトQPSKの最大の特徴は、「信号の遷移時に原点を通らない」ことです。
通常のQPSKは、位相が180度変わる時に信号点軌跡が原点(振幅ゼロの点)を通ります。すると振幅が激しく変動(包絡線変動)し、増幅器で歪みやすくなります。これを防ぐために、シンボルごとに位相をずつずらし、原点を通らないように工夫したのがシフトQPSKです。
問9

答え
正解は1です。
解説
【A】
16PSKは、全ての信号点が「円周上」に並びます。点が増えるほど隣との隙間が狭くなってしまいます。
16QAMは、信号点が「格子状(正方形)」に並びます。円周上だけに並べるよりも、平面を効率よく使えるため、同じ平均電力(円の大きさ)であれば、隣同士の距離をより広く取ることができます。
信号点の間が広い(長くなる)ほうが、ノイズで多少位置がズレても隣の点と見間違えにくいため、シンボル誤り率が小さくなります。
【B】
隣接するシンボルどうしが必ず 1ビット しか異ならないように配置するルールをグレイ符号と呼びます。
ノイズなどで隣の信号点と間違えて判断してしまった際、通常のバイナリ符号だと複数ビットが同時に化けてしまうことがありますが、グレイ符号を使っていれば誤りを最小限(1ビットだけ)に抑えることができます。
問10

答え
正解は4です。
解説
【A】
CDMAの最大の特徴は、隣り合う基地局(セル)がすべて同じ周波数を使用できる点にあります。これにより、移動中に基地局を切り替える際、一時的に「複数の基地局と同時に通信する」ことが可能になります。
【B】
基地局から離れたセルの境界付近では、電波が弱くなり、ビルなどの影響による「短区間変動(フェージング)」で通信が途切れやすくなります。
【C】
マルチパス(建物などで反射して遅れて届く電波)を逆手に取った強力な技術です。
仕組みは、反射して遅れて届いた複数の信号を、相関器という装置を使って「経路(パス)ごと」に分離します。
分離した各信号の時間的なズレを調整して、ピタッと重ね合わせる(合成する)ことで、弱かった個々の信号をひとつの強い信号に再生します。
熊手(RAKE)でバラバラになった落ち葉をかき集める様子に似ていることから、RAKE受信と呼ばれます。
※ARQ(自動再送要求)は、データが間違っていたときに「もう一回送って」と頼む技術なので、ここでは不適切です。

