令和5年2月期午前の第一級陸上特殊無線技士 無線工学の過去問解説になります。
本記事は問11~問15の解説になります。
問6~問10はこちら↓

問11

答え
正解は5です。
解説
【A】
ランダム誤りは、ビットが1つずつ、あちこちでバラバラに発生する誤りです。
原因は、主に受信機そのものが持つ「熱雑音」によって引き起こされます。回路が動いている限り避けることができない、地味に発生し続けるエラーです。
バースト誤りは、ある特定の時間に「ドサッ」とまとめて発生する連続した誤りです。
原因は、建物などによる反射(マルチパスフェージング)で急に信号が弱まったり、雷などの突発的なノイズによって起こります。
【B】
送信側でデータの順番をあらかじめ「バラバラに入れ替えて(インターリーブ)」から送ります。
途中でバースト誤りが発生しても、受信側で元の順番に並べ直す(デインターリーブ)と、まとまっていたエラーがバラバラに分散されます。
分散されて「ランダム誤り」に変わることで、誤り訂正機能が働きやすくなり、データを完璧に復元できるようになります。
デインターリーブ: 受信側で元に戻すこと。(インターリーブの逆)
プレエンファシス / ディエンファシス: これはアナログ変調(FMなど)で高音域のノイズを減らすために使われる「音の加工」技術です。デジタル通信の誤り対策とは関係ありません。
問12

答え
正解は3です。
解説
1:正しい
PSK(位相偏移変調)は「位相」に情報を乗せるため、受信側で基準となる位相を知る必要があります。同期検波はまさにそのための手法であり、PSKの性能を最大限に引き出すために広く使われています。
2:正しい
同期検波では、受信信号に基準搬送波を掛け合わせますが、その際に出る余分な高周波成分を取り除いて元のデータ(ベースバンド信号)を取り出すために、必ずLPFを通します。
3:誤り
同期検波は、正確な「基準の波」を自分で作って比較するため、ノイズに非常に強いです。
遅延検波は、「1つ前の信号」を基準にするため、前の信号がノイズで汚れているとダブルで影響を受け、同期検波より少し性能が落ちます。
4:正しい
受信した電波から、送信側とピタッと位相が合った「基準搬送波」を回路(PLLなど)で作り出し、それを使って情報を読み取ります。
問13

答え
正解は2です。
解説
1:誤り
複数の電波を同時に増幅する場合、非直線領域(パワー全開の飽和状態に近い領域)を使うと、電波同士が混ざり合って「相互変調歪(IM)」というノイズが発生してしまいます。
正しくは、歪みを防ぐため、あえて少し出力を抑えた「直線領域」を使用します。
2:正しい
宇宙からはるばる届く電波は、砂粒のように微弱です。まずは低雑音増幅器(LNA)で、ノイズを抑えつつ慎重に増幅します。その後、地上の受信局へ送るために、受信した周波数とは別の「送信周波数」へ変換(ダウンコンバート)します。
3:誤り
一般的な衛星通信(CS放送など)では、「上り(地上→衛星)」の方が周波数が高く、「下り(衛星→地上)」の方が周波数が低いのが通例です。
例:14GHz帯で送り(上り)、12GHz帯で受ける(下り)。
その理由は、高い周波数ほど大気中での減衰(雨による影響など)が大きいため、パワーに余裕のある地上局から高い周波数で送り、衛星からは少しでも効率よく届く低い周波数で送るという工夫です。
4:誤り
マグネトロンは電子レンジやレーダーに使われる素子です。衛星の中継器では、幅広い周波数をきれいに増幅できる行波管(TWT)や、最近では高出力の固形状態電力増幅器(SSPA)が主流です。
問14

答え
正解は3です。
解説
1:正しい
山陰などの「見通し外」にある地点同士が、比較的近い距離にある場合に設置されます。反射板自体には電源がいらない(無給電)ため、山頂などメンテナンスが難しい場所にも設置できるのがメリットです。
2:正しい
反射板は「電波をキャッチして跳ね返す」役割をします。鏡が大きいほど光をたくさん反射できるのと同じで、面積が大きいほど電力の損失は少なくなります。
3:誤り
反射板の利得は、有効面積を、波長をとすると、以下の式で表せます。
この式から、波長が短くなる(周波数が高くなる)ほど、利得は大きくなることがわかります。
4:正しい
反射板に対して電波が斜めに当たると、反射板が「横から見た分だけ」小さく見えてしまい、効率が落ちます。電波が反射板に対して直角(正面)に近い角度で当たるほど、有効な面積をフルに使えるため、損失は少なくなります。
問15

答え
正解は1です。
解説
【A】
パルス幅が広いと、反射して戻ってきた2つの信号が重なり合ってしまい、1つの大きな塊に見えてしまいます。
パルス幅をギュッと短くすれば、隙間ができるので、2つの物体を別々に認識しやすくなります。
「パルス幅」を一言で言うと、「レーダーが電波をピッ!と出している時間の長さ」のことです。
【B】
レーダーの電波は「往復」することを忘れてはいけません。
パルス幅を、光速をとすると、パルス1つ分の長さはです。
しかし、反射波は行って戻ってくるため、物体間の距離がこの半分の(距離より短いと、反射波同士が重なって識別できなくなります。
【C】
距離測定レンジ(画面に表示する範囲)を「短い(狭い)」レンジに設定すると、一般的にレーダーは自動的にパルス幅を「狭く」して、細かいものが見えるように調整されます。
逆に「長い」レンジにすると、遠くまで電波を届かせるためにパルス幅を広く(エネルギーを大きく)するので、細かい見分けは苦手になります。

