本記事は、「令和8年 2月期午前 第一級陸上特殊無線技士 工学 過去問解説 問11~問15」の解説になります。
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問11

解答
2
解説
A
位相比較器(PC:Phase Comparator)は、2つの信号の「ズレ(位相差)」を検出するパーツです。
左側にある「水晶発振器」は、極めて正確で安定した基準の周波数を作っています。一方で、右側の【B】から戻ってきた信号(フィードバック)もあります。【A】は、この「基準の波」と「戻ってきた波」のタイミング(位相)を比べ、ズレに応じた電圧を出力します。
これにより、周波数が勝手にズレるのを防ぐため、ここには位相比較器 (PC)が入ります。
B
電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)は、入力される「電圧」の高さに応じて、出力する「周波数」を変化させる発振器です。
FM(周波数変調)は、音声の強弱に合わせて「電波の周波数を高低させる」変調方式です。
【A】から出てLPFを通った「周波数を安定させるための電圧」に、音声入力(低周波増幅器を通った信号)の「音声の電圧」をミックスして【B】に入力します。
【B】は、その合算された電圧に応じて周波数を変化させ、FM波(FM出力)を作り出します。
このように、電圧で周波数をコントロールする心臓部なので、ここには電圧制御発振器(VCO)が入ります。
問12

解答
4
解説
A
宇宙にある人工衛星からの電波は、地球に届く頃にはものすごく弱くなっています。そのため、地球局のレシーバー(受信装置)はかすかな電波をキャッチしなければなりません。
雑音温度(ノイズ温度)とは、回路そのものが発生させてしまう「ノイズの大きさ」を温度に換算したものです。
ノイズが大きい(雑音温度が高い)と、せっかくの弱い電波がノイズに埋もれて聞こえなくなってしまいます。そのため、高性能なアンプ(HEMTなど)を使って、雑音温度をできるだけ「低減」させる必要があります。
B C
カセグレンアンテナは、大型の衛星通信用アンテナとしてによく使われる形です。
お椀(主反射鏡)の真ん中に穴を開けて、「主反射鏡」側(お椀の根元、機械のすぐ近く)に一次放射器を配置します。空中に浮いているのは「副反射鏡(小さな凸面鏡)」です。
一次放射器が 主反射鏡 側(お椀の根元)にあるため、一次放射器と送信機・受信機を繋ぐ給電用導波管(電波を通すパイプ)の長さを極めて短くすることができます。管が短いので、電波が途中で弱くなる「損失」を少なく抑えられます。
問13

解答
4
解説
A
移相器は、電波の位相(タイミング)を正確に90度ずらす装置です。
「搬送波再生回路」で作られた基準の電波は、そのまま上の乗算器に入り、I軸(同相軸)のデータを抜き出すために使われます。
一方、下の乗算器ではQ軸(直交軸)のデータを抜き出す必要があります。I軸とQ軸は90度ずれているので、基準の電波も90度(= )ずらしてあげる必要があります。
B
識別器は、LPFから出てきた波の形を見て、「これは『0』だな」「これは『1』だな」とジャッジするパーツです。
乗算器と低域フィルタ(LPF)を通った直後の信号は、まだノイズが混じったり、なだらかに変化したりする「アナログ的な信号(波)」のシグナルです。
私たちが最終的に欲しいのは、スマホやPCで処理できる「0」や「1」のきれいなデジタルデータ(復調出力)です。
そのため、波のプラス・マイナスなどを基準値と比較して、デジタルデータに変換する 識別器(ディシジョン回路) が入ります。
問14

解答
3
解説
A B
SCPCは、Single Channel Per Carrier の頭文字を取ったものです。
直訳すると、「1つの搬送波(電波)ごとに、1つのチャネル(通信路)を割り当てる」という意味になります。
上記の通り、SCPCは「一つの チャネルに対して一つの搬送波を割り当てる」方式です。
問題文の後半に「複数の異なる周波数の搬送波を等間隔に並べる」と書いてあります。電波を「周波数(チャンネル)」ごとに細かく切り分けて利用するスタイルなので、これは 周波数分割 多元接続(FDMA)の仲間になります。
C
対比されている「時分割多元接続(TDMA)」方式は、時間を100万分の1秒といった超細切れにして、みんなでタイミングを完璧に合わせて通信するハイテクな方式です。大容量の通信ができますが、地球局の設備が非常に複雑で高価になってしまいます。
一方、SCPC方式は、決められた周波数でただ電波を出すだけなので「構成が簡単」というメリットがあります。
設備が安くて済むため、あまりお金をかけられない、またはそこまで大量のデータを送る必要がない 通信容量が「小さい」 地方の小さな地球局(小規模地球局)に向いています。
問15

解答
1
解説
A
レーダーは「ピピッ、ピピッ」と短い電波(パルス)を放ち、何かに当たって跳ね返ってくる時間で距離を測ります。この1回の「ピピッ」と電波を出している時間の長さ(=電波の塊の長さ)をパルス幅と言います。
もしパルス幅が広くてダラダラと長い電波を出すと、近くに2つの船が並んでいたとき、両方の船からの反射波が繋がって1つの大きな波になって戻ってきてしまいます(見分けられない)。
逆に、パルス幅が狭くてシュッと一瞬だけ電波を出すようにすれば、2つの船からの反射波が混ざらずに別々に戻ってきます。
つまり、パルス幅が狭いほど、距離分解能は 「良く」 なります。
B
レーダーの電波は「行って、帰ってくる(往復)」します。
パルス幅(電波の塊の長さ)を [秒]、電波の速度を とすると、電波の塊の空間的な長さは になります。2つの目標物が前後に並んでいるとき、それぞれの目標物から戻ってくる電波がギリギリ重ならないためには、目標物同士の距離が電波の塊の長さの半分(1/2)以上離れている必要があります。数式で表すと、距離分解能 は以下のようになります。
したがって、パルス幅の 1/2 に相当する距離より短いと、分離して確認できなくなります。
C
レーダーには、遠くまで見通す「長距離レンジ(モード)」と、近くを細かく見る「短距離レンジ」があります。
長距離レンジは、遠くまで電波を届かせるために、パワーのある「長くて太い電波(パルス幅が広い)」を出します。その代わり、大雑把にしか見えません。
短距離レンジは、遠くまで飛ばす必要がないため、見分けやすさを最優先して「シャキッと短い電波(パルス幅が狭い)」を出します。
つまり、距離分解能を良くして細かく見たいときは、できるだけ 「短い」 レンジ(短距離モード)を用いた方が有利になります。

