本記事は、「令和7年度 第1回 工事担任者 総合通信 理論 第2問」の解説になります。
著作権の関係があるので、問題は記載しません。
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第2問(ア)
解答
4
解説
PON(Passive Optical Network)システムでは、1台の親機(OLT)と、家庭にある複数の子機(ONU)が1本の光ファイバーを枝分かれさせて共有しています。
インターネットを利用する際、複数のONUからOLTに向かって送られる「上り信号」は、同じ光ファイバーを通ります。
もし各ONUが好き勝手なタイミングでデータを送ると、光ファイバーの合流地点でデータが重なり、壊れてしまいます(これを衝突といいます)。
光信号は非常に速いですが、OLTから各ONUまでの物理的な距離は家ごとに異なります。
距離が違うと、信号が届くまでの伝送時間も変わります。
そこで、OLTは各ONUとの間の距離(伝送遅延時間)を正確に測定します。
この「距離を測って、タイミングを合わせる一連の処理」のことをレンジングと呼びます。
他の選択肢は以下のとおりです。
① フィルタリング:特定のデータを通したり遮断したりする機能です。PONでは、自分宛て以外の信号を無視する際などに使われます。
② アイソレーション:「分離・隔離」という意味です。ポート間の干渉を防ぐ際などに使われます。
③ オートネゴシエーション:LANケーブルなどで接続した際、互いに通信速度(100Mbpsや1Gbpsなど)を自動で調整し合う機能です。
⑤ データスクランブル:データの「0」と「1」が長く連続しないようにランダム化する処理です。同期を維持しやすくしたり、セキュリティを高めるために行われます。
第2問(イ)
解答
1
解説
① 正しい
SIPは、インターネット上で「通話を始める(呼び出す)」「通話の状態を変える」「通話を切る」といった、電話の「つなぎ役」を担うプロトコルです。
SIPは、OSI参照モデルのアプリケーション層に位置し、1対1や多対多のセッション(通信の始まりから終わりまで)を制御するのが主な役割です。
② 誤り
記述にある「メッセージを転送する」のは、主にプロキシサーバの役割です。
レジストラは、ユーザー(UAC)が今どこにいるか(IPアドレスなど)の登録情報を受け付けるのが仕事です。
③ 誤り
記述にある「UACの位置を管理する」のは、ロケーションサーバの役割です。
リダイレクトサーバは、着信側が移動している場合に「新しい接続先はここですよ」と発信側に転送先を教えてあげる役割を持ちます。
④ 誤り
記述にある「転送先を通知する」のは、リダイレクトサーバの役割です。
ロケーションサーバは、ユーザーの最新の現在地情報をデータベースとして保管・管理しています(外部からは直接見えないことが多いです)。
⑤ 誤り
記述にある「登録を受け付ける」のは、レジストラの役割です。
プロキシサーバは、代理人としてメッセージを次の目的地へ中継(転送)するのがメインの役割です。
第2問(ウ)
解答
1
解説
IEEE 802.3at とは、一般的に「PoE+(プラス)」と呼ばれる規格で、最大30Wまでの給電が可能です。しかし、この規格は下位規格である IEEE 802.3af (Type 1) を内包しています。
問題文にある Type 1 は、従来のPoE(最大15.4W給電)のルールに従います。
PoEの規格では、供給できる「電力(W)」だけでなく、流せる「最大電流(mA)」もしっかり決められています。
Type 1 (af相当) の最大電流:350 mA
Type 2 (at独自の高出力) の最大電流:600 mA
第2問(エ)
解答
2
解説
5GHz帯のWi-Fiは非常に高速で便利ですが、実は同じ周波数帯を「気象レーダー」や「船舶レーダー」も使用しています。
電波法により、レーダーは公共性が高いため、Wi-Fiよりも優先されるというルールがあります。
もしWi-Fiを使っている最中に近くの気象レーダーの電波を検知した場合、Wi-Fi側が「おっと、レーダーが来たから場所を譲らなきゃ」と判断して、即座にそのチャンネルの使用を中止しなければなりません。
DFSの動き:
1. 検知:アクセスポイントがレーダー波を監視。
2. 回避(DFS):レーダーを検知したら、通信を中断して別の空いているチャンネルへ自動的に切り替える。
3. 待機:切り替え先のチャンネルにレーダーがいないか、1分間監視してから通信を再開する(問題文にある「1分程度途切れる」の正体です)。
他の選択肢は以下のとおりです。
① CSMA/CA:無線LANの基本的な通信ルールです。他の人が通信していないか確認してから送信し、衝突(データの重なり)を回避する仕組みです。
③ TPC (Transmit Power Control):送信電力制御。レーダーや他の通信に干渉を与えないよう、必要最小限の電波の強さに調整する機能です。5GHz帯ではDFSと共によく使われます。
④ RTS/CTS:隠れ端末問題(お互いが見えない端末同士が同時に送信して衝突すること)を防ぐための仕組みです。「送っていい?(RTS)」「いいよ(CTS)」というやり取りを最初に行います。
⑤ MIMO (Multiple Input Multiple Output):複数のアンテナを同時に使ってデータを送受信し、通信速度や安定性を高める技術です。
第2問(オ)
解答
2
解説
通常、屋内の電気配線には家電を動かすための電気が流れていますが、そこに高い周波数の通信用信号を乗せて送るのがPLC(Power Line Communication)の技術です。
電気配線を流れる電気(交流)の周波数は、東日本で50Hz、西日本で60Hzと非常に低いです。
これに対して、PLCは問題文にある通り 2MHz〜30MHz といった非常に高い周波数を使います。
「低い波(電気)」と「高い波(データ)」は混ざり合っても後で分離することができるため、1本の電線で電気の供給とデータの伝送を同時に行えます。
PLCのメリットは、以下のとおりです。
1. 壁や床を貫通できる:無線LAN(Wi-Fi)の電波が届きにくい別の部屋や階上でも、コンセントさえあれば通信が可能です。
2. 配線工事が不要:すでにある電気配線を使うため、LANケーブルを壁に埋め込んだり這わせたりする工事が必要ありません。
他の選択肢は以下のとおりです。
① BLE (Bluetooth Low Energy):Bluetoothの規格の一つで、省電力に特化しています。スマートウォッチや紛失防止タグなど、電池持ちが重要なデバイスに使われます。
③ Wi-Fi:おなじみの無線LAN規格(IEEE 802.3)です。
④ WiMAX:広域をカバーする高速無線通信技術です。家の中だけでなく、外出先で使うモバイルルーターなどでよく使われます。
⑤ ZigBee:低消費電力、低コスト、低速な無線通信規格です。多数のセンサーを網目状につなぐ「メッシュネットワーク」が得意で、スマートホームのセンサーライトなどで使われます。

